「氷河期世代の不遇さ」を綴ったニュース記事に触発されたので、氷河期世代について個人的に思うところを書いてみます。
僕は人材業界に3年勤め、前職でも採用担当を兼任していました。
一緒に働いていた方も含め、氷河期世代の方と話す機会は多くあったんですね。
履歴書だけ見ると、転職市場に出てくる氷河期世代の方は、やはり立派な経歴を持っているケースは少なめです。
一方で、確かな職務能力を持っていることも多く、履歴書だけではわからないことも多いなと感じました。
具体的に言うと、ヒューマンスキルや職務能力の高さですね。
ということで、今回は氷河期世代は優秀な人が多いという話を書いていきます。
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氷河期世代が優秀な理由
氷河期世代が優秀だと思う理由は、主に以下の4つです。
・職務能力が高い
・メンタルが強い
・現場への理解が深い
・コミュニケーション能力に長けている
僕は当事者ではありませんが、採用や仕事で関わっていく中で、このように感じました。
まずはそれぞれ簡単に深掘りしてみます。
職務能力が高い
冒頭にも書きましたが、氷河期世代には職務能力の高い人が多いですね。
少なくとも「仕事ができないオジさん・オバさん」みたいな人は、ほとんど見たことがありません。
即戦力となり得る技術を、しかも割と高いレベルで持っているわけです。
雇用形態は非正規だったとしても、正社員より高い職務能力がある人もいますね。
メンタルが強い
あくまで主観ですが、今まで出会ってきた方には、メンタル的に強い人が多かったです。
具体的に言うと、「辛抱強い」「怒らない」という部分で、どの年代よりも長けていました。
世代間で決めつけるべきものではないですが、環境の違いは間違いなくあるでしょう。
これまでの不遇な環境が、強いメンタルを作っているのかもしれません。
現場への理解が深い
現場への理解が深いのも、この世代の特徴ですね。
非正規の人だけではなく、マネージャー職の人も同じでしたので、世代的な特徴だと考えています。
話を聞く中で、現場感のない上司の下で働いた経験を語る人も多かったので、その辺も関係しているのでしょうね。
コミュニケーション能力に長けている
職務能力に通ずる部分ですが、あえて別に書いています。
氷河期世代は、バブル世代との交流も経験していれば、若い世代との交流もしています。
飲みでの接待だったり、年齢の離れた人と接する中で、コミュ力が磨かれる場面は多いのでしょう。
円滑に仕事をする上で、コミュニケーション能力は欠かせませんし、ほとんどの仕事において必須スキルになります。
コミュニケーションに長けている時点でも、十分優秀だと言えますね。
雇用情勢が悪化すると、優秀にならざるを得ない
今の若い世代もそうなのですが、雇用情勢が悪化すると、優秀にならざるを得ないという背景もあります。
就職がうまくいかなかったり、10年勤めても手取りが15万円だったりすると、何かしら状況を変えていくしかありません。
副業を始めるにしても、一つの会社で頑張るにしても、今以上の努力が必要になってくるわけです。
特に氷河期世代は、現時点で最も不遇な世代だと感じます。
そういう状況に生まれた以上、生きていくために高い能力を身につけるのは必然でしょう。
国の対応も期待できないですし、人によっては高齢になっても、スキルを磨くことになるかもしれません。
氷河期世代を雇う企業が少ない理由
優秀な人が多いのに対し、何故氷河期世代を雇う企業が少ないかというと、一つは経歴の問題でしょう。
人材業界にいた時は疑問も大きかったですが、自分で採用担当をやってよくわかりました。
応募の段階だと、たくさんの中から選考しなければならないので、どうしても経歴でしか判断できません。
それに若くて優秀そうな人もいるため、経歴以上に優秀な人がいる可能性を考慮しながらも、選考で弾いてしまうのを感じました。
もう一つに関しては、やはり一度レールから外れたら戻れなくなる、日本企業の採用システムの問題です。
新卒で正社員になれなかったがために、そこからずっと非正規のままだったり、いい企業への就職が難しくなってしまいます。
今は中途採用への理解も深まっていますが、以前はかなり厳しかったようですし、そこでの苦労もあったのでしょう。
非正規や転職組のマイナスイメージ
ちなみに氷河期世代には、非正規や転職の多さが足枷となっている方もいらっしゃいます。
日本ではそれ自体マイナスイメージになってしまいますし、年齢的に管理職経験の有無が問われることもあります。
海外では転職経験はプラスになりますし、雇用形態で待遇や印象の差はないわけですが、、、
日本で働いている以上、非正規や転職回数の多さは、今でもマイナスに働いてしまいますね(*_*)
一応理解のある企業も増えていて、「年齢、転職回数は問いません!」などと書いてある企業は、きちんとスキルを見てくれる企業も多いです。
中高年からいい企業へ転職したい際には、こういう企業を狙うのがベターでしょう。
氷河期世代が就職するためには
最後に、氷河期世代が就職するためにはという話も書いてみます。
氷河期世代の就職に関わってきた中では、「人柄」&「スキル」を武器にできる人は、中高年でもいい企業への就職が可能でした。
理由としては、やはり中小企業を中心に、人手不足で悩まされている企業が多いからですね。
更に小さな企業は、後継者不足にも悩まされていますので、経験のある人材を欲しがらない理由はありません。
ブラック企業には注意しなければいけませんが、探せば必ずホワイトな企業に出会えるはずです。
「検索力」は意外と大事
ただし、そういう企業を見つけるのって、普通に求人を眺めているだけではやはり難しいです。
人材業界出身として言いたくはないですが、求人サイトや転職エージェントを利用しても、マッチした求人はなかなか見つからないと思います。
かといって、ハローワークの求人をひたすら検索するのも、かなり骨の折れる作業です。
そこで大事になってくるのは、「検索力」になってきます。
ただネットで検索するだけなのですが、目的のサイトにたどり着ける人って意外と少ないみたいです。
自分の感情を言葉にしたり、抽象度の高い(ふわっとした)思考をまとめる能力、あるいは「提供者が書きそうな文章」を想像する力なども必要になります。
欲しい情報へ最短でたどり着ける能力は、ネット社会において大事なスキルですし、求人検索においても同じなんですね。
例えば先ほど書いた「年齢、転職回数は問いません」をそのまま検索しても、それに合った求人が出てくると思います。
「転職回数不問」という検索でもいいでしょうし、「氷河期世代 採用」で調べてみると、氷河期世代を積極採用している企業にもたどり着きます。
(国や地方自治体もキャンペーンを行っていますね)
時期にもよるかもしれませんが、自分の求めているものを上手に検索できれば、自身に合った求人は必ず見つかるはずです。
氷河期世代の優秀さが埋もれないように
ということで、今回は氷河期世代は優秀だという話を書いてみました。
同じ主張の記事も多いので、それなりに多くの方が感じていることなのだと思います。
氷河期世代の優秀さが埋もれないよう、国や企業の変革にも期待したいところです。
ただ、恐らく変わることは期待できないので、結局は自分でなんとかするしかないのでしょう。
幸いなことに、きちんと実力を見てくれる企業もありますので、そういう企業に出会う努力も大切かと思います。